災害時に自分の命と要配慮者(妊産婦、乳幼児)を守るためには、発災後に対応を考えるのではなく、事前に起こりうる事態を想定した対策を準備し、災害に備えることが必要です。日本助産学会災害対策委員会では、東京都の基幹災害拠点病院である都立広尾病院で作成された「減災カレンダー HDMG」を参考に、「減災カレンダー 助産師版」を作成しました。
減災カレンダー助産師版は、(1)助産師・私の備え、(2)妊産婦・母子の備え、(3)職場・自宅の備え、の 3 つの枠組みで構成しており、その中から災害への備えや発災時の命を守る行動に関する11のテーマを挙げ、テーマに沿って考え、確認する内容になっています。例えば、助産師・私の備えには、助産師である私が「助産師」または「私」として、知っておくべき災害の基礎的知識や大切な人との安否確認方法、必要な備蓄などが含まれています。その中から、自分と妊産婦・母子を守るために必要な知識や技術、準備に関することをテーマにしています。「減災カレンダー 助産師版」は、これらのテーマを日常的に、職場や個人での10分程度の学習を通して、防災への意識づけと能力向上を促し、妊産婦と子どもの命を守るための災害対応力の強化を目的としています。
今回の交流集会では、第35回日本助産学会学術集会で行ったワークショップの一部を用い、「減災カレンダー 助産師版」誕生のきっかけから内容までを紹介いたします。より良い物とするため、皆様からのご意見やアドバイスをいただきたいと思います。また、妊産婦、乳幼児以外の対象者への備えの参考となれば幸いです。
*「減災カレンダー 助産師版」は、2020~2021年度日本助産学会災害対策委員である中根直子(日本赤十字社医療センター)、吉村圭子(熊本市役所)、八巻和子(医療法人優心会 竜王レディースクリニック)、 眞嶋ゆか(山梨大学)ならびに著者らが作成したものです。
略歴
池本めぐみ¹⁾²⁾、赤井智子¹⁾³⁾、宮川祐三子¹⁾⁴⁾、小林康江¹⁾⁵⁾
1)日本助産学会災害対策委員
2)国立国際医療研究センター 国際医療協力局
3)日本赤十字社医療センター
4)大阪府立母子保健総合医療センター
5)山梨大学大学院総合研究部